負荷運転実施の義務

非常用発電機 負荷試験四国

負荷運転実施の義務 

点検の義務

総務省消防庁予防課通達(平成30年6月1日公布)
自家発電設備の法令改正と点検の実施義務(消防予第372号)
1年に1回、必ず以下の3方法のいずれか1つを選択し、自家発の点検を
実施することが義務付けられています。

①負荷運転点検    ②内部観察点検    ③保全策点検

点検の目的

火災が発生した際に、自家発電設備から各消防設備に十分な電力を供給するための発電出力と性能を、確認する点検です。

各種点検内容

過去、6年以内に負荷運転点検を行っていても、その後「③保全策点検」の交換部品実地年月記載がない場合は、「①負荷運転点検」、「②内部監察点検」のいずれかを実施すること。
「③保全策点検」だけを毎年行った場合は、6年に1回「①負荷運転点検」、「②内部監察点検」を実施すること。

①負荷運転点検

負荷運転(試験)点検の方法には、実負荷試験と疑似負荷試験の2つがあり、その特徴とメリット・デメリットとは? ※詳しくはこちら ⇒

例1:疑似負荷試験の場合
・疑似負荷装置で負荷率30%以上の運転による非常用発電機の性能確認
【非常用発電機の性能確認】
・負荷率による電圧・電流・周波数・回転数等を測定し明記する。
・発電設備・二次側等の漏電や故障個所の発見。
・負荷率による廃棄黒煙状態を観察し、黒煙が継続噴出する場合は、
 高負荷をかけながら、蓄積したカーボンを燃焼排出させる。
【点検内容】
・2時間〜3時間
【作業中の停電時緊急対策】
・不要

負荷運転点検の流れ

試験機の搬入搬出時間も含め、無停電で約1時間30分の作業


【負荷運転点検作業工程】
1.発電機前まで疑似負荷装置の搬入
2.負荷運転点検要領の作業ミーティング
3.負荷運転実施前の事前点検
(燃料、オイル、冷却水の容量、劣化状況、漏れ等の異常の有無を確認)
4.発電機~疑似負荷装置との接続箇所の確認
5.発電機を自動から手動(試験)に切替
6.発電機と疑似負荷装置のケーブル接続
7.発電機始動 5分間の無負荷運転
8.計量器や表示灯等、異常の有無を確認
9.発電機容量の10%の負荷を疑似負荷装置で投入(5分間運転)
10.負荷10%の電流値の測定、計量器や表示灯等、異常の有無を確認
11.発電機容量の20%の負荷を疑似負荷装置で投入(5分間運転)
12.負荷20%の電流値の測定、計量器や表示灯等、異常の有無を確認
13.発電機容量の30%の負荷を疑似負荷装置で投入(30分間運転)
14.負荷30%の電流値の測定、計量器や表示灯等、異常の有無を確認
15.負荷を徐々に落とし、約5分間の無負荷運転を行う。
(疑似負荷装置のクールダウン)
16.発電機の停止
17.検電確認後、ケーブル取外し
18.発電機を点検後、自動モードに切替
19.計量器や表示灯等、異常の有無を確認
20.負荷運転完了報告


②内部観察点検

内部観察とは、下記の対象項目を確認することです。

負荷運転に代えて行うことのできる点検方法です。負荷運転と同水準で不具合を確認でき、カーボンや未燃燃料等も除去可能。発電機を動かさずに点検が可能できます。


①過給器コンプレッサ翼及びタービン翼並びに排気管等の内部観察

過給器のコンプレッサ翼とタービン翼の運転に支障をきたす汚れや残留物がないか確認し、部品の損傷や欠損を確認します。


②燃料噴射弁等の動作確認

燃料噴射弁の試験器を使用して燃料噴射弁の持つ開く力が問題のない範囲であるか確認し、燃料噴射弁の先端から液だれがないかも確認します。


③シリンダ躍動面の内部観察

シリンダライナ摺動面に運転に支障をきたす損傷や摩擦がないかを確認します。


④潤滑油の成分分析

オイルパン等から潤滑油を抜き取り、その成分に異常がないかを確認します。


⑤冷却水の成分分析

ドレインコック等から冷却水を抜き取り、その成分に異常がないかを確認します。


③保全策点検

不具合を予防する保全策として下記のような確認交換等を行うことです。

予防的な保全策として運転性能の維持に係る予防的な保全策が講じられている場合は、負荷運転の点検周期を6年に1回に延長できます。


①予熱栓、点火栓、冷却水ヒーター、潤滑油プライミングポンプがそれぞれ設けられている場合は、1年ごとに確認が必要です。


②潤滑油、冷却水、燃料フィルター、潤滑油フィルター、ファン駆動用Vベルト、冷却水用等のゴムホース、燃料、冷却水、潤滑油,給気、排気系統や外箱等に用いられるシール材、始動用の蓄電池等については、メーカーが指定する推奨交換年内に交換が必要です。

改正②の通り非常用発電機(自家発電装置)の負荷試験は、保全策を取っていれば6年に1回行えば良いことになりましたが、試験間隔が長くなることで不具合が進行したり、複数の不具合が併発したりする可能性が高まるため比例して、点検の際にかかるコストが高くなる可能性があります。そこで、コストを抑えるために「負荷試験四国」では、負荷試験を1年に1回実施することをおすすめしています。


負荷試験とは非常用発電機に30%以上の負荷をかけ災害の時に正常に作動するかどうかを見極める点検方法です。実施することで、予期せぬトラブルや故障を未然に防ぐことができます。

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